かなり多くの人が購入を検討しているであろうHTC Viveですが、やはり他の製品と比較する点なども多くいまいちはっきりと詳細までこの製品の強みを理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこで、考えうる限り詳しく。このページで完結するようにHTC Viveについて徹底解説していこうと思います。
HTC Viveのスペックを他製品と比較
まずは最も基本となる性能から見ていきましょう。(価格は2019年3月の時点のものです)
HTC Vive | Oculus Rift | Windows MR (Odyssey除く) | PSVR | Odyssey | HTC Vive Pro | Oculus go | |
国内価格(税込) | 82000円 | 45000円 | 54000円(平均) | 37000円 | 55000円 | 145000円(スターターキット) | 25000円 |
解像度 | 2160×1200 (有機EL) |
2160×1200 (有機EL) |
2880×1440 (LCD) |
1920 ×1080 (有機EL) |
2880 x 1600 | 2880×1600 | 1780×720 2枚(WQHD液晶パネル) |
リフレッシュレート | 90Hz | 90Hz | 60Hz/90Hz | 90Hz/120Hz | 90Hz | 90Hz | 72Hz |
視野角 | 110度 | 110度 | 90度~105度 | 100度 | 110度 | 110度 | 110度 |
重量 | 468g | 470g | 平均450g程度(メーカーによる) | 600g | 590g | 765g | 468g |
機器 | PC | PC | PC | PS4 | PC | PC | |
トラッキング方式 | アウトサイドイン方式 (付属のベースステーションを使用) |
アウトサイドイン方式 (付属の赤外線センサーを使用) |
インサイドアウト方式(外部センサー不要) | アウトサイドイン方式(付属のPlayStation Cameraを使用) | インサイドアウト方式(内臓ジャイロ・カメラ) | アウトサイドイン方式 (付属の赤外線センサーを使用) |
インサイドアウト方式(内臓ジャイロ) |
付属品/同梱物 | Viveコントローラー×2 ベースステーション×2 その他ケーブルなど |
Oculus Touchコントローラー×2 Oculus Sensor×2 その他ケーブルなど |
Windows Mixed Realityモーションコントローラー×2 その他ケーブルなど |
PlayStation Camera その他ケーブルなど |
Windows Mixed Realityモーションコントローラー×2 その他ケーブルなど |
Viveコントローラー×2 ベースステーション×2 その他ケーブルなど |
コントローラー・眼鏡用スペーサー・その他ケーブル等 |
プラットフォーム | Steam
Viveport |
Oculus Store
Steam |
Windows Mixed Reality
Steam |
PlayStation Store | Windows Mixed Reality
Steam |
Steam
viveport |
Oculus store |
ひとまず上の表のように、現在HTC Viveと購入を迷うことのあるだろうデバイスと比較してみました。
表の上から解説していきます。
HTC Vive の価格推移とコストパフォーマンス
まずは当然気になる価格面からです。
上の発売当初から現在までの価格の推移を見てもらえればわかる通り2017年に発売されてから半年間でかなり急激に値段は下がりましたが、2018年4月ごろからは70000円ほどで停滞しているのが分かります。
これは、2018年上旬にHTC Vive Proが発売されたことも大きく影響していると思われます。
ここでVive ProがもしHTC Viveとそう変わらない値段で発売されていたとしたらViveの値下げもさらに進んだと考えられますが、Vive Proの値段があまりにも高額であったため(当時Viveの二倍程度)消費者側からすると価格面が障壁となりProを購入するに至れず未だにViveの方を購入する選択を取る人が多いようです。
コストパフォーマンスを考えてみると、同スペック帯の他のデバイスに比べ高額になっていますが値段の差ほどの性能の差はスペック上では感じられずOculus Riftの方がかなりコストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。
同じ解像度同士での画質面での比較
先ほどの価格面での話では、スペック上はOculus riftに軍配が上がると言いましたが、ここでスペック上解像度の等しい両者の実際の画質を比べてみましょう。
VRの画質を比較する際最も差が出やすいと言われるのが文字を見た時です。
上の画像を見てみると一見すると文字の鮮明さはHTC Viveの方が勝っているように見え、Oculus Riftはすこしぼやけているような印象を受けます。
また注意深く観察してみるとHTC Vive側にはかなり細かいですが網目状の線があるのが見えます。この網目状のノイズがHTC Vive(有機ELパネル) 唯一の欠点と言われています。
このように一長一短のためHTC Vive とOculus Riftどちらが画質的に優れているかは一概に決められませんが、やはりコストパフォーマンスという面で見るとさすがに37000円分の画質の差というには差が小さすぎるような気もします。
画の作りはテレビやモニターなどでもそうですが、一定以上になると好みも大きく関係してくるので、Youtubeなどで実際に動画として比較されているものをみて検証するのが良いでしょう。(下動画は参考までに)
リフレッシュレートの重要性
次に、聞きなれない人もいるかもしれないのでリフレッシュレートについて解説していきます。
リフレッシュレートとは「単位時間あたりリフレッシュ(どれだけ画像の入れ替え)が起こるか」という値です。 通常ヘルツ (Hz)を単位として、1秒間にリフレッシュする回数を表します。
下の動画を見てもらえればわかりやすいですが、動画は簡単に言うとパラパラ漫画のように超高速で画像が入れ替わることにより見ることができるようになっています。
ちなみに一般的なテレビのリフレッシュレートは60HzとなっているのでVRの平均である90Hz異常では特に違和感なく動画などは視聴できるでしょう。
しかしここで問題となるのがVRを実際の空間の再現のように利用する際、人間の目のリフレッシュレートとの差があるとちらつきを感じてしまうというところです。
人間の目のリフレッシュレートが明確にいくつか、というのはありませんが(個人差があります)私自身の経験から言わせていただくとすれば、ゲーミングモニターで60Hz、144Hz、240Hzを試した際、60Hzから144Hzはかなり劇的な差を感じました。また144Hzから240Hzでは全社ほどではないにしろ、150%ほどの滑らかさを感じることができました。
このことから、リフレッシュレートに関しては60Hzあればそれ以上は差を感じないというわけではなく、240Hz程度まではおそらく滑らかになっていく実感ができるでしょう。一説によると240Hz程度が人間のリフレッシュレートの限界値のようなので各開発者はおそらくそのあたりを最終目標として考えているのではないでしょうか。
現在VRで主流となっているのは90Hzであり、HTC Viveももちろんその値を実現しているのでリフレッシュレートに関して他のデバイスに劣っているということは全くないでしょう。
人間の実際の視野角とVRの視野角
次に視野角についてみていきます。
視野角に関しては他のデバイスと差がないので上げるかどうか迷いましたが、ここでは人間との視野角の差を考え実際どのように視野角が影響するのかということを考えていきます。
まず人間の視野角は左右に約200度程度と言われています。ここで気になるのが「VRの視野角は人間の視野角の半分程度しかないということは半分は真っ暗になってしまうのではないか」という懸念です。
しかし実際は識別できる角度というのは左右に110度程度でその中でもピントを合わせることができて集中できる角度は45度程度となっています。
したがってほとんどのVR製品で視野角が110度前後となっているのはこういう理由があり、私自身HTC Viveを使用した際、確かに最初は目の端あたりが暗くなっていることに気づきましたが、コンテンツに集中し始めるとすぐにそんなことは頭から消え、まったく気になることはありませんでした。
装着時のフィット感と重量
HTC Vive の重量はあまり知られていませんが実は発売当初から約15%もの計量に成功しています。
発売当初HTC Vive は約550gもあり、そこから考えるとかなり大幅に軽量化が進んでいます。
しかし重量そのものより実際に重要となるのがその装着感です。
装着感には個人差がありますが、一般的にHTC Viveの装着感はかなり評判がよく、HTC自体も装着感についてはかなり考えておりアタッチメントで装着感を高めるようなものも発売されています。
こればかりはできれば購入前に一度試してみるほかありませんが、ほとんどの方はHTC Vive本体の調整機能で不自由なく利用できると思います。
HTC Viveを動作させるためのPC
これはVRを使いたい人にとって死活問題でもあるVRデバイスと接続するPCの性能です。
VRデバイスの中でも高性能なもの見なるほどそれに比例して用意しなければならないPCの性能も高くなってきます。
これはHTC Vive 公式サイトから引用してきた推奨されるPCのスペックになります。
一般的に店頭などで販売されているPCと比べ大きく異なるのはやはりグラフィックスの面ですね。あるとしてもGTX 1060以上となると本当に一部のゲーミングPCに限られると思います。
そこでインターネットショップを使ってBTO(Build To Order)つまり受注生産を利用し、できるだけ安く快適にVRのプレイできる環境を整えることが必要となります。
PCの選び方やおすすめPCはとてもじゃないですがここに書ききることは出来ないので近日中別に記事を作成しリンクをここに張り付けることとします。
ちなみに今お持ちのPCがHTC Vive のプレイに適しているか、HTC Vive 公式サイトで確認することができるのでその手順を紹介しておきます。
まず上記のリンクにアクセスしていただくと
PCのテストというボタンがあるのでそこをクリックします。
するとViveCheck.exeというファイルのダウンロードが始まるので、完了したらViveCHeck.exeを起動します。
するとこのような画面が起動するのでこのままStartを押して診断を開始します。
(Send system informationはデータをHTCと共有してよいですかということなので特にチェックを外しても外さなくても良いでしょう。)
すぐに結果が出るはずです。
ちなみに私の使用しているPCではCPU(Processor)やMemory、OSは条件を満たしていましたが、Graphics(グラフィックカード)が条件を満たしていませんでした。(手持ちのもう一つのゲーミングPCにはGTX1080tiが積まれておりそちらでは問題なく条件を満たすことができました。)
HTC Viveに限らずVRを動かすためにどんなPCが必要で、コスパの高い選び方はどうしたらいいかなど気になる人も多いと思います。
そこで下の記事でかなり詳しくVRを動かすためのPCについて紹介しましたのでよければ参考にしてください。
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【これを選べば大丈夫】VRに最適なPCの選び方とおすすめ【Oculus Link対応】
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トラッキングの方法
まずトラッキングという言葉はあまり聞きなれない人もいると思うのでまずトラッキングとは
「VR本体の動きを感知し追跡、位置を計測をする機能」
と簡単に説明することができます。
この機能をどのような方法によって行うかによってそのトラッキング方式の名前が異なり、数あるVRデバイス同士でもかなり個体差の出る部分となっています。
ここではHTC Vive に採用されている付属の2つのベースステーションを利用したアウトサイドトラッキングについて解説していきたいと思います。
最初にだいたいの形を紹介しておくと上の図のようにHTC Viveを利用する部屋の対角線上に付属のベースステーションと呼ばれるトラッキングを可能にする機器を設置します。
このトラッキング方法のメリットとデメリットを上げるとするならば
メリット | デメリット |
・PCに直接接続するのはVRデバイス本体のみとなるのでUSB端子を多く必要としない
・トラッキングが可能となる範囲が設置形式上広くなりルームスケーリングが可能(体格上に最大5m)
|
・ベースステーションの設置が大変(床から2m以上が推奨されている)
・ベースステーション本体から多少ではあるが動作音がする。 |
と、このようにトラッキングとしての性能は全く問題はないんですがどうしてもその設置方法やある程度の広さの空間を必要とする点がデメリットとなる場合もあります。
設置方法に関しては、基本的に三脚を用いるのが手軽だと思います。日本の家屋の性質上ルームスケーリングの効果を十分に発揮できない場合が多そうなのも少し残念な点です。
プラットフォームと対応ゲームについて
最後にHTC Vive のプラットフォームとその対応ゲーム数について紹介していきます。
VIVEPORT | Seam | |
ゲーム数(2019年3月時点) | 937件
|
非常に多い |
アプリ数(2019年3月時点) | 620件 | なし |
特徴 | ・VR中心であり、VRを利用したゲーム以外のコンテンツ(アート系やアプリケーション)なども多い。
・月額制のVIVEPORT Subscriptionが開始された。(月額800円で毎月5本まで遊べる) |
・PCゲームプラットフォームでは最多のゲーム数。
・とりあえずSteamが使えればゲームに不自由することはない。 |
HTC Viveに関してはSteamに公式に対応している点と、VIVEPORTにてVR専門のプラットフォームを持っていることもあり、対応コンテンツ数からすると全VRのなかで最も多く、それがHTC Viveの一番の魅了くと言っても過言ではないでしょう。
したがってゲームをしたいが対応していなかったりプラットフォームに存在しなかったりするということはまず考えられないので、数多くのゲームをプレイしたい人にはやはりHTC Viveはお勧めできます。
まとめ
ここまでかなり詳細にHTC Vive に関して見てきましたが、まとめると
・性能面では現在でもトップレベルであるが、動かすために必要なPCの要求性能が高い
・値段からするとややOculus Rift にコスパは劣る。これからの値下げはあまり期待できない
・対応ゲーム数の面ではVR界No.1であり、最新ゲームや多くのゲームをプレイしたい人に最適
・トラッキング可能エリアの広さは広いが設置がやや面倒
これからも加筆を続けてていくつもりですのでよろしくお願いします。