Oculus Quest 2—完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット—64GB
2020年9月16日にFacebook Connectで、Oculus Quest2を正式に発表しました。
これまでに何回かのリークによって少しずつスペックや外観の情報が出回っていましたが、
この発表によってストラップアクセサリーのようなたくさんの新しい詳細な情報が公開されました。
まず一番気になるであろうOculus Quest2の発売日は10月13日に設定されています。
また、予約注文は9月26日から始まっています。
今回の記事ではFacebook Connectで発表された詳しいOculus Quest2 のスペック情報から、これまでにOculusシリーズとして発売されたOculus QuestとRift S と比較していきたいと思います。
Oculus Quest2 スペック比較
国内価格(税込) 単位円 | 解像度(片目あたり) | リフレッシュレート | 視野角 | 重量 | 接続機器 | トラッキング方式 | プラットフォーム | |
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Oculus Quest2![]() Oculus Quest 2—完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット—64GB | 38000 | 1832 × 1920 液晶LCD | 90 | 100 | 503 | なし(PC) | インサイドアウト方式 (外部センサーなし) | Oculus Store Steam |
Oculus Quest![]() 【正規輸入品】Oculus Quest (オキュラス クエスト)- 64GB | 50000 | 1440×1600 (有機EL) | 72Hz | 100度 | 571 | なし(PC) | インサイドアウト方式 (外部センサーなし) | Oculus Store Steam |
Oculus Rift S![]() 【正規輸入品】Oculus Rift S (オキュラス リフト エス) | 50000 | 1280×1440 (液晶パネル) | 80Hz | 110度 | 560 | PC | インサイドアウト方式(外部センサーなし) | Oculus Store Steam |
まずはハードウェア面の変更
(Photo by Road to VR )
地味に嬉しい軽量化
まずハードウェア面で気になったのはOculus Quest 2は、前作に当たるOculus Questに比べて70gほどの軽量化に成功していることです。
70gの軽量化と言うとそんな変化がないような気がするかもしれませんが、前作のOculus Questに比べて約10%の軽量化となっています。
VRが普及し始めてから特に問題とされていた長時間の装着で首が痛くなったり、その重さがネックになって仕事などに利用できなかったりという問題を確実に克服しようという姿勢がわかります。
自分がこれまでメインで使用していたのはOculus Rift Sでしたが、この重さとケーブルの煩わしさ(ケーブル必須なのはPC用VRのOculus Rift S)が一番の問題だと個人的にも感じていたのでこれからVRでゲームなどを遊びたい人には嬉しい変化でしょう。
しかし軽量化によってその性能、特にバッテリー容量などが削られてしまうと別の問題が出てきそうですが、公式の発表によると前作のQuest同様2~3時間となるようで増えはしないもののその点も問題なさそうです。
目の焦点を合わせるIPD調整方法の変更
ポイント
IPD(瞳孔間距離)とは
IPD調整を紹介する前に初心者の方のためにまず「IPDとは」ということを簡単に解説しておきます。
IPDは瞳孔間距離の略で、簡単に言うと目の中心間の距離を意味しています。
VRやARヘッドセットに関しては、IPDを知ることが重要になります。
それはヘッドセットを自分のIPDに合わせて調整して、最適な画質と快適な環境でコンテンツを利用するためです。
仮にIPDがあまりにも合っていない状態で使用すると画面がぼやけて見えたりチカチカして見えて酔ってしまう原因になったりします。
Oculus Quest 2のIPDは、58mm、63mm、68mmの3つの位置で物理的に調整できるようになっています。
Oculus Quest 2でIPDを変更する方法は、前作のOculus Questのようにヘッドセットの下部にあるスライダーでレンズを通して見ながらIPDを調整するのではなく、
ヘッドセットを頭から取り外した状態で両方のレンズをつかみ、他の位置の1つ(58mm、63mm、68mmのどれか)に引っ張って調節する必要があります。
この方式は公式に発表されているIPDの最小から最大の範囲内(58mm~68mm)に自分のIPD(瞳孔間距離)が存在していたとしても
ぴったりの位置から最大で2.5mm(5÷2mm)外れる可能性があることになります。
この2.5mmのずれに関して考えられることは
問題の2,.5mmのズレから求められるOculus Quest2の「最大推奨」IPD範囲が70.5mmになるため
前作のOculus Questの「最大推奨」範囲が56〜74mmであったことを考慮すると
おそらく2.5mmの位置ずれでも問題ないと考えられ、また範囲の端でも問題がないということです。
かなりややこしいですが、簡単に言うとおそらくIPDに関して大きな問題にはなりにくいと考えられるということです。(しかし実際のところは発売されてから色々なレビューを見てみない限り確かなことは言えません。)
レンズ変更からの気になる画質
解像度とフレームレート(FPS)の進歩は、Oculus Quest2の最大のポイントと言っても過言ではないです。
Quest 2の片目のあたりの解像度は、前作のQuestの1,440×1,600(2.3メガピクセル)と比較して、1,832×1,920(3.5メガピクセル)です。
これだけでもかなりの進歩ですが、Quest 2のLCDディスプレイには、QuestのOLEDディスプレイよりも多くのサブピクセルがあり、「スクリーンドア効果」をさらに少なくしているためこの数値以上の画質の進歩が可能になっています。
多数のレビューによるとOculusQuest2では、スクリーンドア効果は基本的に見えないようです。
実際前作と見比べてみると解像度の違いはすぐにわかります。前作と変わらない90Hzディスプレイの非常にシャープで滑らかな動きと、上で紹介したようなQuest 2独自の改善で前作のQuestよりもかなりリアルに感じられます 。
しかし馴染みのある人にはすぐわかる通り、OLED(有機ELディスプレイ)からLCD(液晶ディスプレイ)への移行にはいくつかの欠点もあります。
その最大の点は、黒の描写においてLCDがOLEDのような深い黒に近づくことができないことです。
とは言えLCDに変更したことでOLEDで見られるような黒自体を描写した深い黒にはなりませんが、上で紹介したような大きな改善があるので間違いなく価値のあるトレードと言えるでしょう。
Quest2のレンズ自体はフルネルレンズになっていて基本的に前作のQuestと同じです。
多くのレビューによるとQuest2のレンズとディスプレイはうまく調整されていて、色収差、瞳孔の泳ぎ、およびにじみは事実上目に見えません。色むらもほとんど見えませんが、意図的に探すと特定の単色に対してかすかに見える程度です。
悪くも良くもないオーディオ
Quest 2は前作のQuestと同様に、ヘッドバンドからオーディオ用の小型ヘッドホンが出ている形状になっています。
音質と音量の点で、Quest2のスピーカーはQuestとほぼ同じように感じるようです。
オーディオはまずまずですが、IndexやオリジナルのRiftCV1のようなものから聞こえる品質とはかけ離れています。
しかし少なくともRiftSの例の音質を知っている人なら誰でもQuest2のオーディオがより大きくてより良い品質で満足いくと思います。
Index>>Quest2,Quest>>>>>>>>>>>>RiftS
多くのゲームはQuest2の既存の組み込みヘッドホンのオーディオで問題なく動作しますが、特に優れたサウンドテクノロジーとデザインを備えたゲームの場合、より優れたヘッドセット等のオーディオ環境がないと、肝心の没入感を逃してしまう恐れがあります。
ちなみにQuest2には側面に3.5mmオーディオ入力端子が1つあるため、少なくとも自分でオーディオを追加することができるようになっています。
なので音質にこだわりがあったり満足いかない場合には3.5mm端子に注意して自分で別にヘッドホン等を用意する必要があります。
新しくなったコントローラー
一見すると、Quest 2のコントローラーは前作のQuestコントローラーとそれほど変わらないように見えるかもしれませんが実際には、人間工学に基づいた大幅な再設計が見られます。
この新しいコントローラーのデザインは 、元のRiftCV1ヘッドセットのタッチコントローラーに非常に近いものになっています。
これは一見元に戻って改善されたわけではないように感じるかもしれませんが、実際VR界隈ではこのデザインが最も人間工学に基づいたコントローラーとされていたデザインなので隠れた改善と言えるでしょう。

上の画像を見ればわかる通り前作のQuestコントローラーと比較すると、Quest 2のコントローラーははるかに大きな中央の面があります。
これによってボタンの上に置かずに親指を置くための自然な空間ができています。
ハンドルの形も前作より少し意図的に手にフィットするような形状になっています。
またQuest 2コントローラーは、厳密に言うと元のRiftCV1コントローラーよりも少し大きいです。
隠れた大改善

そして、目には見えませんが隠れた大きな改善点があります。
それはQuest 2の触覚(振動など)が前作よりもかなり強力になっているということです。
触覚が鋭くなるとその分比例して没入感が増すので意外に重要な点だったりします。
バッテリーも長持ちに
Quest 2のコントローラーは電力効率が向上したことによって元のQuestコントローラーよりも最大4倍長持ちします。
VRをよく使う人によってコントローラーのバッテリー問題は実際けっこう気になる部分なので4倍長持ちはかなり助かるでしょう。
ちなみに残念ながら、Quest2コントローラーがQuestまたはRiftSと互換性がないことを発表しています。。。
(photo by Road to VR)
ストラップなどアクセサリ関係も充実
Quest 2にはソフトストラップが付属しますが、Oculusは公式アクセサリーとして販売される2つのリジッドストラップ(硬めの素材)も発表しました。
どちらもQuest2のカウンターウェイト(釣り合いをとるための重り)として機能するように設計されたEliteストラップとEliteバッテリーストラップです。
ケースやさまざまなサイズのフェイスパッドを備えた「フィットキット」などのアクセサリーも用意されています。
正直よくないソフトストラップ

前作からのデザインの最大の変更点はヘッドストラップです。
Oculus Questでは硬めの素材を使用したヘッドストラップだったのに対してOculus Quest 2 に関しては柔らかい素材のソフトストラップが標準となっています。
後頭部部分にフィットさせる構造のないソフトストラップは、この三本のストラップで左右と上から締め付けることによってホールドするしかないのでかなりの締まりがないと後頭部を固定することができません。
つまりソフトストラップを使用すると、額と後頭部に必要以上の圧力がかかることがわかります。
しかし次に紹介するエリートストラップがそのような悩みを解決してくれるようです。(ほんとはエリートストラップを標準にしてほしいけどコストダウンとの兼ね合いなのか)
購入必須なエリートストラップ

ここで良いニュースがあるとすると、エリートストラップのデザインが優れていることです。
これは、Oculusのこれまでで最高のヘッドストラップだという評価もあります。
正直今回Oculus Quest2を購入する予定のVRユーザーの場合は、
他のアクセサリより先に、なんならVR本体より先にエリートストラップまたはエリートバッテリーストラップを入手することをお勧めします。
価格は5000円程度しますが、あるのとないのでは大違いで値段以上の働きをしてくれるでしょう。
フィットパック
エリートストラップオプションに加えて、Oculusは「フィットパック」も販売する予定です。
これには、レンズの周りにフィットするライトブロッカー(鼻腔からの光をカバーするため)と
顔の形に合わせて交換できる、2種類の接顔部(広め、細め)が含まれています。
VRを利用したことのある人ならわかると思いますが、VRの顔とのフィット感はかなり没入感に影響してくるので
鼻の部分から光が入ったり、顔に初期のパッドが合わず安定しない人などはこのフィットパックを利用するのも手でしょう。
ちなみにメガネユーザーには嬉しい点としてQuest 2には、レンズを目から少し離して保持するメガネスペーサーも付属しているため、間にメガネを入れるスペースがあります。
携帯用ケース
Oculus Quest2はPCに接続する必要のない独立型なのもあって公式から携帯用ケースも発売されています。
実際持ち運んでどこでも利用できることもこのQuest2の大きなメリットの一つなので持ち運んで利用したい人は故障予防として一つ持っておくのも手でしょう。
(photo by Road to VR)
価格とモデル紹介
Oculus Quest2 64GB 約37000円
Oculus Quest 2—完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット—64GB
Oculus Quest2 256GB 約49000円
Oculus Quest 2—完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット—256GB
Oculus Quest2はこの2パターンの容量のモデルが発売されることになっています。
資金に余裕があったり、ヘビーにVRを使用する予定の人は容量の多い256GBのタイプを購入してもいいと思いますが、初めてVRを利用する人などは64GBのタイプでも十分だと考えます。
仮に64GBのタイプを買って容量がいっぱいになってしまっても使わないものを消せばいっぱいになって使えないということも無いです。
それ以外にもケースセットなど色々な付属品とセットになっているものもあるので最初から買うのを決めている人は一緒に買ってしまえば品切れの心配もないです。
まとめ
Quest 2は2020年現在購入できる最高のスタンドアロンヘッドセット(PCなしで単体で動作する)であり、
性能が確実に進歩しているにもかかわらずこのクラスで最も手頃な価格となっています 。
Quest2を最高に快適な状態で使うには、正直エリートストラップが必須で、追加で5000円ほど払う必要がありますが
それ以外の面は、パワー、解像度、リフレッシュレート、コントローラーの改善など、ほぼすべての点で前作のOculus Questよりも改善されています。
これからQuest2の発売に合わせて新しいゲームなどのコンテンツが多く発表されているので少しでも興味のある人は絶好のVRデビューの機会と言えます。